高マンノース型糖鎖に特異的なレクチンを用いたシリカモノリススピンカラム
本製品は、高マンノース(High Mannose、HM)型糖鎖を特異的に認識・結合する藍藻Oscillatoria agardhii由来レクチン(Oscillatoria Agardhii Agglutinin、OAA)を高密度・高配向性で固定化したシリカモノリススピンカラムです。スピンカラムと溶出液を用いることで、高マンノース型糖鎖を表面にもつ細胞、エクソソームなどの細胞外小胞(Extracellular Vesicles、EVs)、ウイルスおよび細菌などを同糖鎖特異的に捕捉濃縮し、その内包物(タンパク質、mRNA、miRNA、DNA など)をカラム上で可溶化溶出することが可能です。グライコミクス、プロテオミクス、ゲノミクス分野で有用です。
固定リガンド(OAA)の高い結合力
OAAの糖タンパク質(HM含有)との結合親和性は著しく高く(nM~pM)、gp120(HIV-1エンベロープ糖タンパク質)との結合親和性(KD)は抗原抗体反応の約1,000倍になります(下表)。単糖であるマンノースには結合せずHM特異的です。
糖鎖 | 糖タンパク質(HM含有) | |
(M5)*¹ | BTG*² | gp120*³ |
4.12×10⁻⁹ | 3.87×10⁻⁹ | 2.54×10⁻¹² |
OAAの糖鎖・糖タンパク質との結合親和性(KD値)
*1:高マンノース型糖鎖(M5)、*2:ウシチログロブリン、*3:HIV-1エンベロープ糖タンパク質
【参考文献】Sato, Y., et al., J. Biol. Chem., 282(15),11021-11029(2007). [PMID:17314091]
固定リガンド(OAA)の高い結合力
1.高マンノース型糖鎖を特異的に認識し結合するレクチン(OAA)を固定化したシリカモノリスに液体試料を添加し反応させ、細胞、細胞外小胞 (EVs)、ウイルスおよび細菌などを捕捉する。
2.捕捉後、洗浄操作により不純物および不要な物質を除去する。
3.溶出液により捕捉した細胞、細胞外小胞(EVs)、ウイルスおよび細菌などを分解し、その内包物(タンパク質、mRNA、miRNA、DNA など)を回収する。
操作方法概略
対象試料
実績:血清、血漿、唾液、培養細胞上清など
参考例:精製糖タンパク質溶液、細胞溶解液など
使用例
ヒトがん細胞株の培養上清を用いて、各種方法(超遠心、本製品、A社製品、B社製品)でEVsを精製し、精製されたEVsから特定のmiRNAの発現量解析を行った。本製品を用いて精製および抽出した場合、他法より7~10倍量のmiRNAが検出された。